GoogleのSGEが試験運用を開始
2023年8月30日、日本国内でのSGE(Search Generative Experience)の試験運用が開始されました(Google Japan Blogで発表)。SGEはGoogle検索の新機能で、検索に生成 AI を組み込んだもの。デスクトップの ChromeブラウザとスマートフォンのGoogleアプリで利用可能です。試験運用終了日は2024年2月になっています。
検索エンジンがより進化することで、トピックの理解が促進されたり、新しい視点での洞察ができたりするなど、情報検索、情報の理解の方法に変革をもたらすかもしれません。
同時に、SEO(Search Engine Optimization)への影響も議論されています。ゼロクリックサーチが増加するなどすれば、ブログなどを使ったマーケティング戦略にも大きな影響を及ぼすかもしれません。
そこで今回、デスクトップの ChromeブラウザでSGEを実際に使ってみて、記事で取り上げることにしました。
Tips マイクロソフト社のBing
マイクロソフト社は、SGE相当の機能をBingで運用中です。ただし、現在の検索エンジンの利用状況を考慮すれば、SGEの試験運用がSEOなどに与える影響はより大きい可能性があります。
1. SGE(Search Generative Experience)の概要
SGEは、Google検索の新機能で、検索にAI生成技術を組み込んだものです。SGEは「Search Generative Experience」の略で、Googleはこれを「生成AIによる新しい検索体験」と表現しています。この機能は、デスクトップのChromeブラウザとスマートフォンのGoogleアプリでご利用可能です。試験運用終了日は2024年2月までとなっています。
Googleアカウントにログインした状態でChromeブラウザを起動すると、以下の画面のようになります。赤丸で囲まれた領域に「Search Labs」という機能が追加され、ここからSGEの利用手続きを行うことができます(以下、デスクトップの Chromeブラウザ前提で記載しています)。

「Search Labs」をクリックすると、以下の画面が表示されます。赤丸で囲まれた領域をクリックすることで、SGEを有効にすることができ、以後SGEが利用できます。

上記の「例を見る」をクリックすると、下のような画面が表示されます。この例では、「ウッドデッキを作るには」を検索窓に入力すると、最初に検索窓に入力した質問に対する生成AIの回答が自動的に生成され、表示されています。その後に、オーガニック検索結果が表示される仕組みとなっています。なお、生成AIによる回答は、検索窓に入力した質問の内容によって表示されない場合もあるとのこと。また、AIに追加の質問をしたい場合には、下の画面の赤丸で囲まれた部分の「追加で聞く」をクリックし、追加の質問を入力することで、生成AIによる追加の回答を得ることができ、オーガニック検索結果も変化します。

2. SGEによる情報検索への影響
2.1. ゼロクリックサーチ増加の可能性
ゼロクリックサーチとは、検索エンジンの検索結果ページで、利用者がリンクをクリックすることなく(追加のクリックを必要とせずに)、必要な情報を直接得られる検索形式のことを指します。
SGEを導入すれば、検索結果の先頭に、検索窓に入力した質問に対する生成AIの回答が自動的に生成され、表示されるため、利用者はブログなどへのリンクをクリックせずとも、求めている情報を簡単に入手できる可能性が高まります。さらに、AIに対して追加の質問を行うことも可能であり、これによってゼロクリックサーチがますます増加する可能性が高まるかもしれません。
2.2. SEO(Search Engine Optimization)への影響
ゼロクリックサーチが増加すれば、オーガニック検索結果での上位表示の価値は低下する可能性が高まります。利用者は、検索結果に提示される生成AIによる回答に満足し、特定のホームページやブログへのリンクをクリックする必要性が減少すると考えられるためです。
これまでホームページやブログへの利用者誘導をSEO中心に検討してきた企業は、今後、ホームページやブログへの利用者誘導戦略を再評価する必要があるかもしれません。
3. SGEによる情報検索への影響への対応
3.1. ホームページやブログなどのコンテンツ内容の充実
企業ならではのコンテンツを充実させることが重要だと考えます。
3.2. SNS,Youtubeなど他の誘導手段の活用
ホームページやブログなどへの利用者誘導を主にSEOに頼ってきた企業は、新たな誘導戦略の検討が肝要です。たとえば、SNSやYouTubeなど、他の手段を活用してホームページやブログへの利用者誘導を模索することが不可欠と言えます。
3.3. 名刺など印刷物に2次元バーコードを追加
近年、URLを入力するだけで2次元バーコードを生成し、生成したデータをダウンロードできるウェブサービスが数多く提供されています。これらのサービスを活用すれば、名刺や製品カタログなどの印刷物に2次元バーコードを追加し、利用者をホームページやブログなどに誘導することが容易に実現できます。
4. まとめ
この記事では、SGE(Search Generative Experience)について説明しました。SGEはGoogle検索の新機能で、AI生成技術を活用して情報検索体験を向上させています。以下にまとめを記します。
- SGEの概要: SGEは「生成AIによる新しい検索体験」を提供するGoogleの新機能です。デスクトップのChromeブラウザとスマートフォンのGoogleアプリで利用可能です。
- SGEの利用手続き: Googleアカウントにログインした状態でChromeブラウザを起動し、「Search Labs」をクリックすることでSGEを有効にすることができます。
- 検索結果の変化: SGEを導入すると、検索結果の先頭に生成AIによる回答が表示され、その後にオーガニック検索結果が表示されます。これにより、ゼロクリックサーチが増加する可能性があります。
- SEOへの影響: ゼロクリックサーチの増加により、オーガニック検索結果での上位表示の価値が低下する可能性があります。企業は利用者誘導戦略を再評価し、SNSやYouTubeなどの手段を活用する必要があるかもしれません。
- 対策の提案: SGEによる情報検索への対策として、コンテンツの充実や2次元バーコードの活用などが考えられます。これらの対策を検討し、ウェブプレゼンスを強化することが重要です。
SGEは情報検索の未来を形作る新しい技術であり、これに適切に対応することはオンラインプレゼンスの向上につながります。今後の変化に備え、適切な戦略を検討しましょう。