DCON(ディープラーニングコンテスト)2023に思う

先日、全国高等専門学校ディープラーニングコンテスト2023(DCON2023)の模様がNHKで放映されました。現在、ChatGPTを含む生成AIが世間で注目を集める中、若者たちがディープラーニングの活用に興味を持ち、どのように実践しているかを垣間見ることができ、非常に有用だと感じたので、それを今回の記事に取り上げることとしました。

1.DCON(ディープラーニングコンテスト)とは

DCON(ディーコン)は、高等専門学校生が日頃培った「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品を制作し、その作品によって生み出される「事業性」を企業評価額で競うコンテストです(DCONのホームページより)。

現在、ChatGPTをはじめとする生成AIが世間で注目を集めていますが、それは主に事務処理などデスクワークに革命をもたらす可能性があると考えられます。一方で、DCONは「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を掛け合わせることを特徴としており、製造現場など実際の現場に革命をもたらす可能性があると考えられます。

以下では、番組で紹介されていた「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品に触れながら、ディープラーニングがどのように社会課題解決への貢献につながるかを探りたいと思います。

Tips ディープラーニングとは

ディープラーニングは、人工知能(AI)の一分野で、多層のニューラルネットワークを使用してデータから高度なパターンや特徴を学習し、問題を解決する技術です。人間の脳の仕組みを模倣したこの手法は、画像認識、自然言語処理、音声認識など、幅広いタスクに応用され、近年のAI革命を牽引しています。

2.紹介されていた「ものづくりの技術」と「ディープラーニング」を活用した作品

紹介された作品を通してディープラーニングは、画像や音などを使った監視や判別、健康管理への活用、インフラの維持・保守への活用などに有益と感じました。

さらには、データから高度なパターンや特徴を学習し活用することが、社会課題の解決に直結すると改めて感じ、データ活用の重要性を実感しました。

2.1.カラスによる農産物被害を防止するシステム

カラスによる農産物被害を防ぎたいというニーズに対して、カラス画像をAIに学習させ、カラスを画像認識するシステムを構築、そのシステムをドローンに搭載してカラスを追い払う様子が紹介されていました。

このシステムはカラスに限らず鳥獣から農産物を守ったり、警備の分野などでも利用できるなど、利用範囲が広いと感じました。

また、農業就業者数が今後ますます減少すると言われている中、ICTを農業に活用するという意味でも興味深い仕組みだと感じました。これにより、効率的な農業管理が可能となり、農業の持続性と発展に貢献できるのではないかと思います。

2.2.プラスチックのリサイクルの関係したシステム

プラスチックの再利用が進まない現状(焼却などされている)は、ポリエチレン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂などの種類を適切に選別できないことが原因の一つです。この問題に対処するために、プラスチックの種類を判定できるAIシステムが開発されたことが紹介されていました。

環境問題や資源問題は大きな社会課題の一つであり、こうした課題にAIやディープラーニングは大きく貢献しそうだと感じました。このような技術の進化によって、プラスチックのリサイクル率が向上し、環境への負荷を減らすための一歩となるでしょう。

2.3.異音を検知するシステム

不良品が発生したりするなど機械に異常がある場合、通常は機械がかすかな異音を発生させます。現状では、経験豊富なベテランがこの音を感知して機械を調整しているようです。紹介されたシステムは、生産時に発生する機械の音をAIに学習させ、機械の異常を検知する仕組みです。

機械の不具合が不良品発生や事故に繋がる可能性を考慮すると、このような取り組みは非常に重要だと感じました。

さらに、製造現場の高齢化対策の観点からも重要な取り組みだと思います。組織によっては、ベテランが多く、中堅・若手が少ない状況が見られることがあります。ベテランが定年退職すると、組織内に蓄積されたノウハウや知識が失われ、安全管理などに支障を来すおそれもあります。

私自身も関与したプロジェクトで、ベテランが持つノウハウや情報をシステムを使って管理するニーズがあり、その経験があります。こうしたニーズは今後ますます増える可能性があると思います。技術とシステムの進化が、現場のノウハウの継承や安全管理などに役立つことを期待しています。

2.4.AIを使って認知症の疑いを推定するシステム

認知症患者の歩き方の特徴(ふらつきなど)をAIに学習させ、そのシステムをスマートフォンアプリ化した内容が紹介されていました。このアプリでは、スマートフォンを持ちながら一定時間歩くことで、認知症の危険度を数値で示すことができます。

最近、生命保険の見直しを行った際に、スマートフォンアプリを使って健康管理をすると、例えば1日の歩数を記録するなどで保険料が割引されるサービスが存在していることを知りました。

AIを活用して認知症の疑いを推定するシステムや保険会社の取り組みを見て、健康管理に普段持ち歩くスマートフォンが役立つ時代になったことを実感しました。こうした仕組みを有効活用して、健康な生活を実践したいと思います。健康管理が手軽に行えることで、自身の健康に対する意識が高まり、より健康的な生活を送ることができると感じます。

2.5.送電線を点検するAIロボット

送電線の点検は、作業員が高所で目視で行う危険な作業です。そのため、作業員の代わりにロボットが送電線の上を走りながらカメラで送電線を撮影し、それをAIで解析するシステムが開発され紹介されていました。

道路や橋などのインフラは、高度成長期に建設されたものが今も現役で活躍していることがメディアなどで報じられており、点検には時折ドローンが活用されているケースを目にします。これらの点を考慮し、また将来的な労働人口の減少を考えると、インフラの点検にAIやロボット、ドローンがフル活用される時代が訪れると思います。

このような先進的な技術の導入により、人間の安全を守りつつ効率的な点検が可能となります。さらに、高所での危険な作業から作業員を解放することで、より安全で持続可能なインフラの維持・管理が実現するでしょう。

2.6.その他

工場の各種メーターをカメラで撮影しデータ化するシステム、歌唱力をAIで評価し歌を訓練するシステム、道路の劣化を検知するシステム、工事現場での作業員の監視を行うシステム、みかんの木をAIで解析し適切な農薬を自動でまくシステム、園児の見守りシステム(動作推定、表情認識など)、そして養殖マダイの成長度合いをAIで解析して自動的に餌を与えるシステムなどが紹介されていました。

これらのシステムは、様々な分野での効率化や安全性向上に寄与しています。工場のメーターのデータ化により、生産プロセスの管理レベルが向上し、道路の劣化や工事現場での作業員や園児をAIによって見守り・監視することにより、より早い対応や効果的な安全管理が可能になります。

歌唱力をAIで評価することで、音楽のトレーニングがより効果的に行われるでしょう。YouTube上で歌唱指導をするチャンネルが人気を博していることを考慮すると、このようなアプリは人気を集めるかもしれないですね。

みかんの木の状態をAIで解析して適切な農薬をまくシステムや養殖マダイの成長をAIで管理するシステムが導入されることで、効率的な現場管理を実現し、人々の生活に安心と便益をもたらすことでしょう。これらのテクノロジーの進化によって、さまざまな分野での業務が効率化され、新たな可能性が開かれていることを感じます。

3.まとめ

様々な分野で活用されようとしているディープラーニング技術。農業におけるカラス被害防止、プラスチックのリサイクル素材の判別、製造業における異音検知、認知症の疑い推定、送電線点検など、ディープラーニングの応用範囲は広く、ディープラーニングは、社会的課題の解決に貢献すると考えられます。

さらなる技術の進歩と社会への適用が期待される中、個人情報保護や倫理面なども考慮しながら、ディープラーニングの利用が進んでいくことでしょう。将来的な展望も含めて、今後の研究と実践がますます注目を集めることでしょう。